名簿業者がわかる
平成15年2月に経済産業省は早期事業再生ガイドラインを発表し、その中で、米国においてLLCがファンドのみならずベンチャー事業やジョイントベンチャーなどにおいて活用されていることに着目しています。
そして、より簡易な起業制度の整備の観点からも、日本においてもできるだけ早期に、構成員の有限責任が確保された事業組織法制の整備のあり方について検討し結論を得るとともに、併せて税制上のパススルー制についても検討を行うと述べています。
同年5月には、総合科学技術会議(内閣府設置の諮問機関)が、意見具申「研究開発型ベンチャーの創出と育成について」の中で、「人的資本を基礎とする閉鎖型の簡易で柔軟な運営形態として、米国で最近急速に普及しているLLC制度がある」という内容で米国のLLCを紹介した上で、同様の提案をしています。
平成15年6月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」では、研究開発型ベンチャーの創出、知的財産推進計画の推進、知的技術革新・産業集積の充実を一体的に推進するための施策の一環として、有限責任会社(LLC)および有限責任組合(LPS)の早期創設が掲げられました。
LLP制度の創設へ(1)ファンド法改正・LLC創設上記の流れをみると、有限責任の人的組織の必要性が、企業再生ファンド等の投資ファンドの器として、あるいは、ベンチャー事業やジョイントベンチャーなどの新規事業の運営主体として検討されてきたことがわかります。
このうち、投資ファンドの器に対する必要性については、平成16年4月に、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律(中小ベンチャーファンド法)の改正という形で具体化されました。
この改正により、それまで投資対象を未公開の中小企業や一定の要件を満たす事業再生を行う企業に制限されていた中小ベンチャーファンド法の投資対象が拡充され、名称も「投資事業有限責任組合契約に関する法律」となって使い勝手が向上しました(なお、このようにファンドの器の制度が整ったことから、LLPについてはファンドの器としてのニーズはないといわれています)。
また、新規事業の運営主体となり得る新たな事業形態を求める声に対しては、平成15年10月に法制審議会会社法部会が公表した「会社法制の現代化に関する要綱試案」においてLLCを念頭に置いた新たな会社類型の創設が提案され、平成17年6月29日に成立し、平成18年5月をめどとして施行予定の新会社法では、日本版LLCである合同会社制度が認められました。
(2)LLC+LLPに至った理由諸外国の例をみても、LLC類似の制度とLLP類似の制度が同時に創設された国はないようです。
日本版LLCが誕生するこの時期に、なぜ日本版LLP制度も創設されることになったのでしょうか。
LLP創設に至った一番の理由は、税制上の取扱いに対する産業界の要望だといえます。
Xでもみたように、経済界の要望は、法人格、出資者の有限責任制、税制上のパススルー、組織の柔軟性を備えた事業形態の創設でした。
経団連は、平成16年9月に発表した「平成17年度税制改正に対する提言」の中でも、合同会社の税制上の取扱いとして、合同会社へ現物出資する際の課税繰延とパススルー課税を導入すべきである、と主張しています。
ところが、国税庁は、法人格を有する事業体に対しては法人税課税を行うという原則で課税関係を取扱っています。
米国LLCについても、それが米国税法上、法人課税または構成員課税のいずれかの選択を行ったかにかかわらず、日本の税法上外国法人として課税関係を取り扱うのが相当という見解を示しており、現時点では合同会社についても法人課税の対象として取扱うものと考えられています。
そこで、構成員課税の新事業体に対する経済界の強い要望に応えるために、経済産業省主導でLLP創設の準備が進められたのです。
(3)LLP創設まず、経済産業省経済産業政策局長の私的研究会として有限責任事業組合制度に関する研究会(略称「日本版LLP研究会」)が設置され、平成16年9月17日から同年12月10日にわたる4回の研究会において、日本版LLPに対するニーズについて(第1回)、出資者の有限責任と債権者保護規定のあり方について(第2回)、法的主体性に関する考え方と税制上の取扱いについて(第3回)、そして、日本版LLP制度創設の具体的な提案内容について(第4回)、それぞれ検討が行われました。
以後の経緯は以下のとおりです。
平成16年12月17日「有限責任事業組合制度の創設の提案(中間取りまとめ)」発表平成17年2月4日LLP法法案の閣議決定および国会提出平成17年4月14日衆議院本会議で可決・承認平成17年4月27日参議院本会議で可決・承認平成17 年5月6日公布平成17年7月29日施行令・施行規則公布平成17 年8月1日施行経済産業省は、法案提出にあたり、海外で既にLLPと同様の制度が整備されており、日本企業の競争力向上のために早急にLLP制度を実現することが必要と説明していました。
日本版LLPの早期導入を希望する経済界の後押しもあり、LLP法案は経済産業省の意向どおり、スピーデイかつスムーズに成立したといえるでしょう。
X、Yでみたように、日本版LLP制度およびLLC制度が導入される契機となったのは、近年、諸外国において、創業を促し、企業同士のジョイントベンチャーや、事業者と専門人材が連携して行う共同事業を振興するため、有限責任の人的組織が整備され、利用されているということでした。
有限責任の人的会社としては、米国にLLCおよびLLP、英国にLLP、ドイツにはG(有限合資会社)、フランスにはSAS(単純型株式資本会社)が存在します。
また、シンガポールでは、英国LLPを参考にしてLLP制度の創設が検討されてきましたが、2005年1月25日にLLP法が議会で承認・可決され、同年4月11日から施行されています。
経済産業省や日本版LLP研究会は海外の先行事例として主に英国と米国の制度を検討してLLP法を創設していますので、以下、その概要を紹介することにします。
なお、立法に至る経緯からわかるように、日本版LLP導入に際して最も関心が高かったのは、事業体について法人課税が行われるのか、構成員課税が行われるのかという点でした。
この点に関しては、LLP法法案と同じ日に国会に提出された税制改正法案(所得税法等の一部を改正する法律(案))において、LLPの事業体への課税を行う旨の特段の規定が盛り込まれなかったことから、従来からある民法上の任意組合や商法上の匿名組合同様、構成員課税とされることが明らかとなりました。
(1)米国LLC米国においては、法人の根拠となる組織法の多くは州法で定められています。
米国のLLCについては、1977年にワイオミング州が最初のLLC法を制定しました。
1982年にはフロリダ州もこれに続いています。
当初はLLCの課税上の取扱いが不明確であったため、LLC法の制定は広がらず、LLCの利用も限定的でした。
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